犬の心臓病で飼い主ができること

OSUWARI編集部

2015年11月26日 更新

犬も寿命が延びたことで、人間と同様、心臓病にかかるケースも増えてきました。

歩き方がふらついたり、疲れやすく運動を好まなくなったりして全身的な倦怠感を示す場合と、水を飲むときにむせたり、激しい運動の後に、咳をするようになると、心臓病を疑った方が賢明です。ここでは、犬がかかりやすい心臓病をご紹介しています。健診を受けて、早めに対応していきましょう。

 

犬の心臓病とはどんな病気か

犬の心臓病には、大きく分けて「僧房弁閉鎖不全症」と「心筋症」の2種類あります。

僧房弁閉鎖不全症とは?

僧房弁が完全に閉じなくなる病気です。
心音の雑音があることで発見される病気で、多くは7歳前後から見られ、一番多いのは、10歳くらいといわれています。

心筋症とは?

1. 拡張型心筋症

左心室を中心として心筋の変性と、変性に伴う線維化が起き、左心室が拡張し、心筋が変形するため収縮する力が弱くなる病気です。

2. 不整脈原性右室心筋症

右心室の心筋の壊死やアポトーシス(細胞の脱落死、細胞の自殺ともいう)が起こり、不整脈を引き起こします。
他に、肥大型心筋症や拘束型心筋症もありますが、犬での発症は珍しく、発症例も少ないです。

どんな症状があらわれるの?

僧房弁閉鎖不全症の症状は?

疲れやすいため、以前に比べ運動量が減ったり、すぐに座り込んだり、横たわったりするようになる症状がみられます。加齢によるものなのか、病気によるものなのか判断しにくいため、気が付かずに進行している場合があります。

初期の段階で、激しい運動や興奮した時に、のどに何か引っかかっているような咳をします。進行していくと、水を飲む、食事をした時にもむせるようになります。
重症になると、運動を嫌う、散歩の途中で座り込むようになります。

さらに、慢性的に進行していくと、肺に水が溜まり、肺水腫を起こすと、呼吸が荒くなり、呼吸困難を起こすこともあります。

急性的な場合には、左房破裂や肺水腫を起こして、急死する場合もあります。

心筋症の症状とは?

1.拡張型心筋症

疲れやすい、運動をしたがらないなどの全身的な症状が表れてきます。健診などで、不整脈がみられる場合があります。
進行してくると、肺水腫、呼吸困難を起こします。全身に血液が循環しなくなるため、腎不全や心不全を起こすことがあります。

2. 不整脈原性右室心筋症

右心室の心筋の壊死やアポトーシス(細胞の脱落死、細胞の自殺ともいう)が起こり、繊維脂肪組織が置き換わるときに、右心室での伝導障害が起こり不整脈を発生させます。

心臓病にかかりやすい犬種とは?

僧房弁閉鎖不全症の場合

中型犬より小型犬に多く発症します。

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、マルチーズ、その他小型犬全般

心筋症の場合

1.拡張型心筋症

ドーベルマン、ボクサー、ゴールデンリトリバー、アメリカン・コッカー・スパニエル、ダルメシアン、グレート・デーン

2.不整脈原性右室心筋症

ボクサーに多くみられます。

心臓病の原因とは?

僧房弁閉鎖不全症の場合

多くの原因は加齢といわれています。僧房弁の粘液腫瘍変性によっておこりますが、変性を起こす原因は不明です。

心筋症の場合

原因は不明です。人の場合は遺伝子異常が見つかっていますが、犬の場合は遺伝子が特定できていません。ドーベルマンの場合は家族性である場合があり、大型兼に多い心疾患です。

心臓病の検査方法と治療について。

心臓病を的確に判断する場合には、検査が重要です。

聴診での心雑音だけではなく、ほかにも詳しく検査を行っていきます。

心電図検査

不整脈の有無や心拍数がわかります。
寝かせた犬の肢にクリップをつけて心電図を測ります。

X線検査(レントゲン検査)

心臓の大きさを確認し、心房、寝室が肥大していないか診断することができます。
肺や気管、気管支の状態を把握することが可能です。

心エコー検査(超音波検査)

心臓内部の状態や血流の判断を行います。心臓内部の様子を動画で確認することができます。

心臓カテーテル検査

心エコー検査でわからないところを診断でき、外科手術を行う場合には必須の検査であると同時に、カテーテルを利用して手術を行う治療もあります。

全身麻酔をして、首や胸の血管から心臓までカテーテルを挿入して行います。

僧房弁閉鎖不全症の治療方法

血管拡張作用やホルモン合成を抑制する薬を服用していきます。他に症状に応じて、血管拡張薬や利尿薬、強心薬を使う場合もあります。

また、交感神経を抑制するβブロッカーも有効的です。肺高血圧症を合併している場合には、合併症に対する治療も一緒に行っていきます。

また外科的治療として「弁輪縫縮腱索再腱法」もありますが、日本で治療できる施設は限られ、人工心肺の装置が必要となるため、技術的に難度の高い治療となります。
現在は内服薬での治療がメインですが、内服薬の質が向上したため、発症後の寿命も長くなりました。

心筋症の治療方法

根本的治療法が確立していません。

そのため、内服治療がメインになります。心臓の収斂性を上げる薬剤や交感神経を遮断するβブロッカーが有効といわれています。肺水腫を併発している場合は利尿剤を使い、対処療法を行っていきます。不整脈が多発する場合には、抗不整脈剤を使うことがあります。

心臓病になったら家庭で気をつけることとは?

 心臓病と診断された場合には、医師の指示に従い、運動を制限し、食事の塩分を控えるなど、生活面での管理や調整が必要になってきます。

力ませないことも大切ですから、散歩する時に引っ張らないようにし、リードの長さなどが適切か、散歩コースの距離はどうかなど気になることは獣医師に相談しましょう。

また、興奮させないようにし、呼吸が乱れている時には、体をさするなど、落ち着くような配慮が必要です。水や食事でむせる時には、様子を見守り、吐く、または吐いた吐しゃ物が気管に入らないように見守るなど、注意が必要です。

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