犬の白内障|9歳以上40頭に1頭が発症している白内障の原因と治療について

OSUWARI編集部

2018年5月1日 更新

人間同様、犬も長寿の時代です。目の老化が始まると犬の生活の質(QOL)が低下することが考えられます。異常を感じたらすぐに獣医に相談し、早期発見、治療を心がけるようにし、適切な治療を受けられるように配慮しましょう。

犬の白内障とはどんな病気?

眼球の水晶体はピントを合わせたり、光を屈折さえたりとカメラの凸レンズのような働きをし、景色を映し出しています。白内障とは、その水晶体の一部または全部が白く濁る病気のことです。
水晶体の混濁程度により、初発⇒未熟⇒成熟⇒過熟といったステージに分類されます。

水晶体は、「水晶体核」「水晶体脂質」「水晶体嚢(のう)」の3つからなっています。

犬の水晶体の構造

水晶体核
水晶体にあるもっとも硬い核の部分。卵でいうと黄身の部分です。

水晶体皮脂
水晶体内にあるやわらかい部分。卵でいうと白身の部分です。

水晶体嚢(のう)
核、皮脂を覆う袋で、卵で例えるなら殻になります。

正常な水晶体は、透明で弾力があり、自由に厚さを変えてピントを合わせることができます。
しかし、加齢や遺伝により、中央の核から次第に硬くなり、濁りが出てきます。

レンズに汚れがあると物がクリアに見えないのと同じで、白内障の場合「物がかすんで見える」「二重、三重に見える」「光がまぶしく感じる」などの症状があります。

行動範囲が狭まったり、行動する時に物にぶつかることが増えたと感じたら、早期に病院へ行きましょう。

加齢性白内障と非加齢性白内障

犬の場合、加齢性の白内障と非加齢性の白内障に分けられます。

加齢性白内障
老化に伴って発症。多くのわんちゃんが加齢によるものです。8歳で1.6%、9歳で2.5%もの発症する確率があります。
加齢による白内障は、水晶体の核が白く濁っていきます。
非加齢性白内障

老化が原因ではなく、遺伝性、糖尿病などの全身疾患、水晶体損傷、慢性的な眼内炎症などが原因の白内障。

加齢性白内障と異なり、非加齢性白内障は水晶体核とそれを覆う水晶体皮質が一緒に硬くなり膨張したことで、殻の役割を担っている水晶体の嚢(のう)が割れ、水晶体タンパク質が外に漏れ出していきます。

漏れ出した水晶体タンパク質は、眼の中で強い炎症を起こし、それが緑内障や網膜隔離の原因になったり、強い痛みや失明してしまうため、手術が必要とされます。

犬の白内障の症状とは?

白目の一部が赤くなったり、黒目が白く濁ってくる

初期症状
黒目の中央部分に小さな範囲で白濁がみられます。

未熟期
初期に比べると白濁の範囲が2倍ほど拡大しています。

成熟期
水晶体が膨化してきます。

過熟期
水晶体内容物が完全に漏れ出している状態です。眼の構造が壊れている状態です。

その他にも、まぶしそうに目を細めたり、涙が多く流れるなどの症状がみられます。白内障が進行すると、結膜炎のように白眼が赤くなったり、黒目が白く濁ってきます。

黒目に白く濁った部分がみられるようになり、徐々に濁った部分が広がってくるようになるため、普段の愛犬の健康な眼の状態を知っておくことも大切です。
また、進行が進むと水晶体の内容物があふれ出て、目の構造が崩れてしまうこともあり、犬にとっても目が見えないだけでなく、痛みも伴う病気です。

初期の段階では症状や行動に変化は見られませんが、視力が低下、または見えなくなることで、普段と違う行動がみられるようになります。

「歩き方がぎこちなくなる」「物につまずく、段差でつまずく」など、行動にも変化がみられるようになります。

核硬化症(かくこうかしょう)との違い

見た目が白内障とよく似た病気で「核硬化症」という病気があります。
核硬化症は、加齢に水晶体が硬化し白濁していきますが、白内障と異なり視覚障害を伴いません。

白内障と見分けるには、「徹照法」(てっしょうほう)と呼ばれる方法を使用します。

徹照法(てっしょうほう)
瞳孔の中に光を照射し、眼球の奥にあるタペタム層からの反射光を観察するというものです。
白内障の場合、水晶体の濁りによって途中で光が遮られ、灰~黒の点が現れます。
核硬化症の場合は、こうした不連続な部位が現れません。

犬の白内障の原因は何?

文頭でも説明しましたが、白内障は加齢性と非加齢性の要因に分けられます。

加齢性は文字通り、犬が年齢を重ね老化し、白内障を引き起こすことが考えられます。この老化が原因でない白内障を非加齢白内障と言えます。

この非加齢性白内障は遺伝性である場合がほとんどで、糖尿病などの全身疾患や水晶体損傷、慢性的な眼内炎症も原因の一つと考えられています。

犬の白内障の年齢と発症率

老化によるもの

白内障の場合、ほとんどが老化によるものです。9歳では40頭に1頭が白内障を発症していると言われています(アニコム損保調べ)。
上の表からわかるように、0歳から5歳までは0.5%に対し、9~12歳のわんちゃんの2.5%以上が白内障を発症しているのです。

また、老齢になってから発症した場合、手術を受ける体力がないことや施術が困難で治療費が高額なことから進行を遅らせる治療をメインに行われます。

発症年齢によって若年性、老齢性の分類は適正ではなく、シニア犬であっても、非加齢性白内障を発症する場合もあります。

遺伝によるもの

白内障は前述したように、遺伝的要素が大きく関係してきます。

白内障を発症しやすい犬種

 

  • ミニチュア・プードル
  • トイ・プードル
  • 柴犬
  • アメリカン・コッカー・スパニエル
  • ミニチュア・シュナウザー
  • キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
  • ジャック・ラッセルテリア
  • フレンチ・ブルドッグ
  • ボストン・テリア
  • ビジョン・フリーゼ

基礎疾患

他の病気が原因で白内障を発症するケースもあります。

 

  • 糖尿病
  • 低カルシウム血症
  • ブドウ膜炎

また、罹患しやすい犬種である、トイプードルやダックスフンドに多い進行性網膜萎縮(PRA)では、視細胞死を起こす時に出る酸化物質によって、白内障を発症することがわかっています。

有害物質

ジニトロフェノールやナフタリンといった毒物が白内障を引き起こすことがわかっています。

犬の白内障の治療

犬の白内障の治療

初発、未熟、成熟、過熟というそれぞれの進行ステージによって治療方法も変わってきます。

犬の白内障は完治するの?

外科手術を行うことで、完治することは可能です。
ですが、人工の水晶体と入れ替えたりと高度な技術、設備が必要なこと、高額な治療費がかかることで、手術を行うケースは少ないようです。

犬の場合は、視力が低下しても嗅覚や聴覚が優れていることから、日常生活に大きな影響を及ぼすこともないと言われていため、高齢犬は手術での全身麻酔をすることによるリスクを避け、完治ではなく進行防止を選ぶ飼い主さんがほとんどのようです。

治療方法

点眼
基本的に、症状やステージにあわせて点眼薬を毎日行います。
しかし、点眼薬では完治することはできず、進行を遅らせるだけになります。そのため、犬の白内障を治したいのたらば手術を行う必要があります。

外科手術
白内障の手術は、人と同様に水晶体の内容物を超音波で乳化吸入して、水晶体嚢に眼内レンズを挿入する超音波乳化吸引術が一般的な施術方法です。
全国の動物病院でも、それだけの設備を兼ね備えている病院は非常に少ないため、費用が高額になってしまいます。

また、合併症により再手術になる可能性も10%もあるといわれている難しい手術です。

犬の白内障の手術費用30万前後

手術費用だけでなく、人工の眼内レンズを挿入する場合、レンズ自体が比較的高価なため30万はかかってしまいます。
さらに、入院費や目薬代などもかかるため、多めに40万はかかると思っていた方がいいでしょう。

アニコム損保の調べでは、白内障の手術を行った場合の診療費は平均約34万円(保険金支払額より推定)だったようです。

愛犬が白内障になってしまったら

愛犬が白内障になってしまったら

白内障になってしまうと、視界が狭くなったり見えづらくなるため、物にぶつかったり、足元がふらついたりと怪我をしてしまうこともあるので、愛犬が通る道や場所には危険な物を置かないようにしましょう。

眼が白く濁ってきた?と感じたらすぐに病院へ!

犬の白内障は、非常に進行が早いのが特徴です。
初期段階で生活に支障がないからといって、治療を遅らせていると、病状が悪化し手術や失明してしまうこともあります。
初期、未熟、成熟、過熟のどのステージで治療を行うかで、合併症や再発の発症率を防ぐことができます。また、治療費も大きく変わってきます。
愛犬のためにも、初期に治療を始めるべきなのです。

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